ハルオ

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 iPhoneのメモ機能は機種変更をしてもiCloudで管理されたまま結構古いものまで残っているので、忘れた頃に見返すとなかなかおもしろい。8年前のメモに一言「ディナークラッシュ」とだけあったのだけれど、全くもって意味不明。念のため「ディナークラッシュ」でググったがなにもヒットしなかったので、映画のタイトルとかそういうわけでもなさそうだ。メモをするなんてよっぽどのことだったのだろうに、見返して意味が分からないのではメモの意味がない。意味がないのだけれど、意味不明なことがおもしろいので、iCloudに保管されている過去のメモを見返すことはおすすめする。

 去年の11月にうつになってからしばらくは無症状のまま安定していたのだけれど、6月に糖質制限をしたら抑うつ気味になってしまい、糖質制限をやめて無症状に戻ったと思ったら、7月にもまた抑うつ気味になってしまった。わたしには趣味もできることも何もなくて、なんてつまらない人間なんだと落ち込んで、しくしく寝込んでいた。連休が何回か続いたことで今はすっかり無症状で(まあ症状は振り子のようなものなので、まだ安心はできないが)、やりたいことがそこそこあって嬉しいなあと思う。うつの時にはそういう気持ちを忘れるし、無症状の時にはうつの時のそういう気持ちを忘れる。それを何回も繰り返しているくせに、どうしてその時にはそのことを思い出せないんだろう、馬鹿だなあと思う、と夫に話したところ、夫は「毎回生まれ変わってるんだと思う」と言った。

 夫は言葉の選び方が素敵だ。本人曰く「他人のことを必要以上に配慮して言葉を選んでしまう」とのことだが、配慮されていることを感じさせないような、なんというか、柔らかな言葉を瞬間的に選んでいるので、わたしはすごく居心地がよい。居心地がよかったのでこのことを忘れないようにiPhoneのメモに書いておこうと思ったが、「ディナークラッシュ」という言葉に意味を与えたい気分になったので、ここで8年ぶりにiPhoneのメモに「ディナークラッシュ」と書いてみることにした。次にこの言葉を見た時には、夫のなんというか柔らかい言葉の選び方のことを思い出せたらよいなと思うけれど、まあそんな上手い話はないだろう。何せわたしはすぐ忘れる。